桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第7章 悲しみの先は【トラファルガー・ロー】
この世界で私は必要なのだろうか。
愛される資格はどうやったら手に入るのか私はずっと模索している。
──ドンッ
「…おい、ふざけてんのかよ。こんなクソ恥ずかしい弁当作りやがって…」
「ご、ごめんなさい…‼︎」
「はぁ?謝るくらいなら努力したらどうだ。」
「朝、起きれなくて…‼︎本当に、ごめ、んなさい!」
それは何がきっかけで起こるかなんて私には分からない。
何故なら彼の逆鱗に触れることが一貫性がなく、ただの"気分"や"機嫌"だからだ。
壁に投げつけられて震える体を何とか動かして頭を床につけて謝るが、肺が口から出そうなほどの衝撃を背中に感じる。
痛いのは最初だけでだんだん慣れてくる。
泣いたらダメ。余計に怒らせるだけだから。
こんなことが増えると心を無にしてその場をやり過ごす術ということを身につけていく。
背中を蹴られ、頭を掴まれて投げ飛ばされるが顔には絶対に傷跡はつけない。
見えないところにだけ残る赤黒い痣は決してキスマークなどという甘いものではない。
床に頭をつけたまま時が過ぎるのをじっと耐えていると、ドアがバタンと閉じる音でやっとソレが終わったことに気付く。
ふと時計を見ると約1時間経過している。
(…今日はいつもより短かったな…)
ある時は馬乗りになって拳で殴られ
ある時は壁に力の限り突き飛ばされ
ある時は雪降る極寒の中、ベランダに放り出されて凍死しそうになったこともある。
酷い時は2、3時間ぶっ通しで殴られ続けたりして、翌朝目覚める。
今回はこれだけで済んで"ラッキー"とすら思ってしまう私は完全に感覚が麻痺してしまっている。
こういう日の翌朝は、身体に付いたあざの位置を確認することが私の日課になっていた。