桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第6章 タフショット【三井寿】
──1試合の3ポイント成功本数11本達成は快挙と言えよう。FG(フィールドゴール)も含めると驚異の45得点を達成した男。
その名も三井寿。
投げる際にジャッと爪が最後までボールに触れていることを知らせる音が彼のシュートへの拘り。綺麗にゴールに吸い込まれていくと拳をぐっと握りしめて…
「だーかーらー、もうやめろっつーの!何だよ、その解説は。恥ずかしいだろ…!」
「あれ?あれあれあれー?やだ〜照れてるの?ミッチーったら可愛い〜。」
彼の試合を観に来るのはもう何度目だろうか。
所属しているチームのファンやブースターというわけではないが、バスケ部のマネージャーだったことで今でも連絡を取り合っている。
私の悪ふざけはもう慣れたものだろう。
特に今日は完全にゾーンに入っていて"打てば入る"。まさにそんな日はつい揶揄ってしまう。
だが、どんなに厳しいディフェンスをされていてタフショットになったとしても絶妙な間を作り出してシュートモーションに入れるのは彼の強みだ。
シュートセンスの塊とでも言おうか。昔から困った時に頼りになる男だった。
「うるせぇな…ったく、そんなことだから彼氏できねェんだよ。」
「あ。あーー!禁句。禁句いったね?へぇ〜。そんなこと言うんだ。デリカシーないなぁ。ミッチーは。」
彼がプロになったのと同時に自分も普通のOLになり普通の生活を普通に送っている。
彼氏はいないが気ままな独身女は趣味であるバスケ観戦をして何物にも縛られない自由な生活も気に入っている。
ミッチーのチームカラーは青色。郷に入っては郷に従えということで応援しに行くチームのグッズはきっちり身に付けるのがマイルール。
彼の背番号『14』が印字されたTシャツを身につけ、鞄の中には青いメガホン。
そして隣には『14』番の本人。
ファンからしたら涎が垂れる程の贅沢な時間だろう。