桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第5章 医者恋パロディ(学生編)【トラファルガー・ロー】
「…お前の馬鹿は可愛いが、数学のこの壊滅的な点数は何だ…?」
「ご、ごめ、ごめんなさい…!」
ローとは1年前の高校二年生の時に付き合い始めたのだが、医学部のスーパーエリートでとにかく何故自分と付き合ってくれているのか分からないほど素敵な人なのだ。
受験を控えてあまりに成績が伸び悩んでいる私に母がお気に入りの私の彼氏のローに成績が悪いから見てやってくれと勝手に頼んだ。
なので突然約束もしていないのに家に帰ってきたら愛おしい彼氏がいて嬉しくてたまらなかったのは束の間で、"成績表を見せろ"と言われて今に至る。
「…とりあえず…音大に行く行かないはお前の好きにすればいいが…数学がこれじゃ…外国語学部受からねェだろ。」
「れ、歴史、選択にする…。」
「いや、言うほどそれも良くねェだろ。」
ローの意見は最もだ。
地歴が合格圏内のわけでもなく、数学なんて論外。
言われるがままノートや教科書を出すとそれを広げて何やら確認をしている彼の横顔は見惚れるほどカッコよくてそれだけで顔がにやけてしまう。
「……地歴はやめとけ。数学を教えてやる。解き方は合ってるが使う数式を間違えてるだけだ。こっちのが計算ミスさえしなけりゃ確実に点が取れる。」
「え、…?で、でも…私、この前の期末試験数学28点だったよ?!」
「……お前もっと早く言え。いくらでも教えてやったのに。仕方ない奴だな。」
とんでもない点数をカミングアウトしても呆れ顔をしながらも優しく頭を撫でてくれるローに思わず抱きついてしまった。
兎にも角にも受験を間近に控えて捨てていた数学を教えてくれることになったので、必死に教えてくれたことを覚える。
やる気と言うのは単純なもので彼が所々でご褒美にくれるキスが甘くて甘くてもっと欲しくてただそれだけであれほど嫌いだった数学が面白いように解けるようになっていった。