桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第3章 ホワイトレディ【トラファルガー・ロー】※
「…オレもお前と付き合えて良かったと思ってる。」
ローの言葉が嬉しくて、彼の腕に掴まった。
あの時、失ったものはあったが、その代わりに私はこんな幸せを手に入れたんだ。
グラスに手を伸ばすと冷たいホワイトレディが身体に染み渡る。
「…じゃあ、そろそろその色のドレスでも着るか。」
「え…??」
その言葉の意味がわからず、ローの顔を見上げるとフッと笑って小さい箱を渡された。
それが何かなんて分からないほど子どもじゃない。
さっきの言葉の意味も分かり、身体が震えた。
まさか、ローからそれをもらえるなんて考えたこともなくて目を見開いてそれを凝視した。
ホワイトレディの入ったグラスについた水滴が落ちるのと私の目から涙がこぼれ落ちたのは同じくらいだった。
「…結婚するか。」
「うん…。うん…!!嬉しくて…死にそう…。」
「死んでもらったら困るのだが。」
「はい…。」
「今の仕事はもう辞めろ。どこかでパートとかにしろ。しなくても…オレが養ってやるから心配すんな。」
「う、うん…!」
マスターがサービスでもう一杯同じのを作ってくれた。
もう酔い潰れても彼がいてくれる。
いや、前に酔い潰れた時も彼がいてくれた。
これからも私の人生には彼がいる。
彼の人生にも私がいる。
これからは堂々と歩けるんだと思うとそれも嬉しかった。
どこかの大病院の娘でもない。
どこかの大企業の娘でもない。
でも、彼が私を選んでくれたことに涙が止まらなかった。
「…今日は一番最初に抱いてくれたみたいに抱いて?」
「残念ながら、あの時より想いが強くなってるんだ。同じようには無理だ。」
「ああ、そっか…。ならもっと愛して。」
「言われなくても。」
ローの大きな手が私の手を包み込む。
私の手には彼がくれたダイヤモンドの指輪が輝いていた。