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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第20章 Reincarnation【宇髄天元】





むかーしむかし、あるところに悪い鬼がいました。
鬼はたくさんの人間を喰っては力を蓄えていきました。
何百人、何千人という剣士たちが鬼を倒そうと犠牲になりました。
そして、漸く倒した鬼は幻だったかのように消えて無くなりました。途方もない尊い命が儚くも消えてしまったけどもその魂は再びこの地に降り立ち、再び愛を紡いでいくのです──



「マスタァアアアっ!!!聞いてくれる?!もう上司のセクハラが酷いのなんのって!!あ、ハイボールお代わり。それでさ、隣に立つだけでお尻触ってくんの!しかも距離が近いせいで、社内で噂になって別の部署にいた彼氏に振られたのよ?!どう思う?!あのクソ上司が!!派手に死ね!!!」


「…さん。もう少しだけ声のボリュームを下げてもらえますか?」


「…あ、失敬失敬。聞こえてた?ハイボールお願いします。」


此処は行きつけのバー。
家の近くで隠れ家的な其処は私のお気に入り。会社からは遠いが、飲み過ぎたとしても家が近ければ歩いて帰れるのが利点だ。


「何のハイボールにします?」


「いっちばーん安いウイスキー!たくさん飲みたいから。」


鬱憤が溜まった時は安い酒をグビグビ飲んで嫌なことを忘れることが私のストレス発散法だ。
今の会社に就職してからと言うもの、此処に飲みにくる回数は徐々に増えていき、今や二日に一度訪れるほど。

此処に来ると喋ったことはないけど、たまに会う二人組の男性がカウンターの端で飲んでいることが多い。
一人は明朗快活でド派手な髪型をしている人、そしてもう一人は背も高い上にガタイもいいのに所謂イケメンという部類の人。

会ったことはないはずなのに初めて見た瞬間、どこかで会ったような既視感を覚えた。


あんなド派手な二人組何処かで会ったら忘れない。だからきっと自分の思い過ごしだと気にしないようにしていたのに此処で会うと自然と目で追ってしまう。
そして、今日も私がいるカウンターの反対側に二人でしっぽりと飲んでいた。


(…仲良しなんだなぁ。いつも一緒にいる。…え、まさか…、え?!そういう感じ…?)



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