桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第18章 武器は君そのもの【トラファルガー・ロー】
「わぁーー!!綺麗な島ですね!」
「そうか…?花がうじゃうじゃ咲いてるだけだろ。」
うじゃうじゃという形容詞は何とかならないだろうか。これではせっかく咲き乱れている一面の花畑が台無しだ。
今度の島は春島の海域のようで遠くから見た限りでもピンクや黄色、青や紫…と言った様々な花が咲き乱れていて上陸するのを楽しみにしていたのだ。
「ねぇ、ローさん!見てください!お花の紅茶ですって!美味しそう!あ、あそこの丘の上にお花に囲まれた教会もある!」
私が目移りしながら流れていく風景に逐一感動していると言うのに面倒臭そうにため息を吐いてポンと頭に手を乗せると一軒のお店の前で足を止めた。
「おい、分かったから。あとでいろいろ買ってやるし、連れて行ってやるから。ただし、大人しく待っていられたら、だ。オレは酒場で情報収集してくるから此処で待ってろ。いいな?」
ローさんは島に降り立つ度にログがどれくらいで溜まるかやら聞くために酒場に行くのだが、今回もそれは同じ。
でも、いつも私は店の外で置いてけぼり。ガラの悪い人がたくさんいるからと言うことだけど、此処で一人で待たされるのは寂しいし、つまらない。
仕方なくコクンと頷く私に満足そうに口角を上げると眩しいくらいのカッコいいお顔をこちらに向けるものだから恥ずかしくて下を向いた。
私がハートの海賊団に入ったのは割と最近の話。とある診療所で看護師として働いていたところを海賊に襲われてDr.も同僚も患者さんまでも殺されていった。
しかし、自分も殺されると思った時に助けてくれたのがトラファルガー・ローさんだった。
同じ海賊なのに意外に紳士的だし、口は悪いけど凄く優しい彼に惹かれるのに時間はかからなかった。