第1章 憎い敵・・・でも、好き【赤頭巾】
「おい、エレン。」
しばらくあの後もアルミンと喋っていると唐突に声をかけられる。声のする方に視線を向けると、自分の相棒であるジャンがそこにいた。
「なんだ、ジャンかよ。久しぶりにアルミンとの会話を楽しんでるっていうのに邪魔するのか?」
と、ちょっと苛立ちを覚えつつ問いただす。
「邪魔はしたくなかったんだけどよ、任務を言い渡されたからな。」
「えっ!?」
想像もしていなかったことだったので驚き先ほどは座っていたというのに思わず立ち上がってしまう。
「なんか、いつもより早くねぇか?
前ならもっと遅かったのに。まぁ、任務をもらえるのは嬉しいけど。」
「まぁ、ここは万年人手不足だからね。」
「アルミンの言ってる通りだ。ほら、すぐ行くぞ。」
「おう!アルミン、じゃあまた今度な!」
「うん!」
そして、食堂をアルミンを残して去った。
食堂はいつもと変わらず賑わっていた。
自分達が消えてもその賑やかさは途絶えることはなかった。
今までアルミンと喋っていたため何も装備をつけていなかった俺はすぐに装備を付ける。
装備といっても全身に武器を仕込ませて、最後に背中に斜めへ狩猟銃を背負うだけなのだが・・・。それを先に終わらせていたジャンはずっと俺のそばで待っていてくれる。
「なぁ。」
「なんだよ。」
「今回の任務はいったいどんなやつなんだ?」
「あぁ、言ってなかったな・・・、今回の任務はこの前の任務で会った男の捜索だってよ。」
「え、なんで探すんだよ。」
「知らねぇよ。なんか団長らが言うんだから従うしかねぇだろ。」
「・・・分かったよ。」
そっけなく返すものの疑問に思う。
前の任務で会ったという男はリヴァイさんしかいない。リヴァイさんを捜す・・・?
なんでわざわざ団長らが俺らに命令を・・・?
あの人は狼だって言ってたけどそれ以外に複雑な事情でもあるのか・・・?
そんないろんな疑問を持ちつつ装備をつけ終えた。
そして、俺達は彼─・・・リヴァイさんを捜すため、前に出会ったあの森に行くことになった。