第4章 夏祭り/柳蓮二
《夢主side》
8月31日。今日は夏休み最終日。
私は彼氏である柳蓮二と一緒に夏祭りに来ていた。
「。その浴衣似合ってるな。」
高校最後の夏祭りということで気合を入れて浴衣を着た。
紺色のベースに、赤く大きな椿があしらわれた高校生にしてはちょっと大人びた浴衣なんじゃないかなと思う。
「そういう蓮二こそ、浴衣来てくると思わなかった。かっこいいね。」
蓮二は薄茶色の無地の浴衣に下駄を履き、竹の扇子をパタパタと仰いでいた。
「俺は、夏は浴衣が私服だよ。」
「えぇ?嘘だぁ。」
「ふっ。冗談だ。」
そんな他愛もない話をしながら、夜の町を彩る屋台を見て回った。
「蓮二!私これ食べたい!」
私はいちご飴を指さして声をあげた。
「ほぅ。いちご飴か。いいんじゃないか?」
私は小粒のいちごが5つ刺さったいちご飴を1本買った。
近くにあったベンチに腰掛け、私はいちごを頬張った。
「ん〜!おいひぃ♡」
「そうか、それは良かったな。俺も1つ貰ってもいいか?」
蓮二は、はしゃぐ私を見つめて静かに笑いながらそう言った。
「うん!もちろん!」
私がそう言うと、蓮二の顔が私の手元へと近づいてきた。
あっという間に私が手にしていたいちご飴の串から1つ、口で抜き取って顔を離した。
「うん、うまいな。」
いちごを飲み込んだ時に、ごくんと動いた蓮二の喉仏が妙に艶やかでドキッとした。
「ところで、今気づいたんだが。」
と、蓮二が私の方を向く。
「お前、今日下着を着けていないのか?」
「え!?なっ…なに急に…」
「あぁ、すまない。今いちごを貰った時に浴衣の隙間からお前の胸元が見えてしまって。」
蓮二は表情を変える事なく淡々と話した。
「~~~っ!変態!」
私は顔を真っ赤にして、蓮二の胸板をぺちぺちと叩いた。
「いや、それが本来の浴衣の着方なんだ。だからそういう学があったのかと思って。」
「お母さんが…着付けてくれた時に…下着はつけない方が綺麗だって…」
私は恥ずかしさのあまり、うつむき加減で答えた。
「ふむ。なるほどな。。早くいちごを食べ終えてしまえ。」
「え?あ、うん!」
私は言われるがままに、残りのいちごも食べ終えた。