第1章 ピンク色した世界/桃城武
《桃城side》
俺は高校2年。テニス部レギュラーで勉強はそこそこ。
最近俺のクラスに転校してきたのことがちょっと気になっててよ。
しかもその子が、テニス部のマネージャーになってくれたんだよ。
これはチャンスじゃねーか?と思って、近づくタイミングを見計らってるんだが、どうも人気があるみてぇでよ。
周りにはいつも他の男がいるんだよなぁ。はぁ。
とりあえず、その子の視界にちょっとでも入りたくて、他の部員のヤツらと無駄に大声で話してみる。
ちらちらその子の方見て確認するが、こっちを見てる様子はない。
そんな俺を見て、他のヤツらはニヤニヤ笑ってやがる。
『桃〜。お前、分かりやすいなぁ。』
「うっ、うるせ〜なぁ」
そんな話をしていると後ろからの呼ぶ声が聞こえた。
「桃城くん。今いいかな?」
「お、おぅ!いいぜ、なんだ?」
俺がと会話したのをきっかけに、周りにいたヤツらはそそくさと離れていった。
「次の大会の事なんだけど…」
手元の書類に目を落としながら、うつむき加減で話すに思わず見とれる。
長いまつ毛、通った鼻筋。そして、少しピンクづいた唇。
柔らかいんだろうなぁ。キス…してぇなぁ。って俺やばいな。
「桃城くん?どうかした?」
「え?いやぁ、なんでもねぇよ。」
俺はが顔を上げた瞬間、パッと視線を逸らした。
そんな俺をは不思議そうに見つめた。
「まぁ、そういう事だからよろしくね」
そういっては俺の元から立ち去った。
はぁ。また業務的な話しか出来なかったぜ。
「も〜も。何見てーんの?」
「おわ!英二先輩!」
「はっはーん。さてはちゃんのこと見てたんでしょー!」
「ちょ!英二先輩声でかいっすよ!」
「うわー、図星だー☆桃、やらしー!」
そういって、英二先輩は俺を指さしてケタケタ笑った。
その様子をが見ていたのを、俺は知らなかった。
☆☆☆
次の日、俺は2時限目の古文の授業中眠っていたらしく、
授業が終わってからも机に突っ伏して寝ていた。
「…しろくん」
「ん…」
「桃城くん!」
「うわぁ!」
俺はガタガタと椅子を鳴らしながら飛び起きた。
声の主はだった。