第6章 第五話 復活の葉
「ここか!?」
特に吹雪が強い洞窟。
神田がユキサを支えながら前を見据えた。
「うん、この奥からなんだけど…っ!!」
「迂闊に近づけない…っ」
神田の言葉に、何かを思いついたユキサが突然イノセンスを発動した。
「おい、何を…!」
「イノセンス発動!歌姫<プリマ>」
―――――荒れ狂う吹雪よ、かの吹雪を飲み込み、相殺せよ!
ゴオオオ!と衝撃音が響き、吹雪が大きく吹き荒れる。
より増した猛吹雪に、神田がユキサを強く抱きしめた。
そうして少し経った後、徐々に吹雪が止んでいく。
「お前…」
「ご、ごめん…」
前触れもなく何やってんだ、と神田はユキサを睨んだ。
「一体何をした?」
「えーと…一か八かだったけど、私の起こす吹雪で相殺してみた…」
この異常気象がイノセンスならば、同じイノセンスでなんとかなるのではと思ったとの事だった。
目には目を、イノセンスにはイノセンスを、抑え込むことが出来るかもしれないと思い立った。
おかげで異常気象の吹雪とユキサの起こした吹雪に吹き飛ばされる所ではあったのだが。
「まあいい。…先へ行くぞ」
「あ、うん!」
歩き出した神田へ、ユキサも続いた。
「わぁー…」
奥へと進むと、中央に見えてくる大きな樹。
天井は吹き抜けになっており、夜空に浮かんだ月明かりで、神秘的に光る。
そこからイノセンスの気配を感じた。