第6章 第五話 復活の葉
「じゃぁ私も」
「お前はここにいろ」
少し顔色の悪いユキサを見て神田が言うが、ユキサは首を振った。
「駄目と言っても勝手についていくからね」
「チッ…」
こうなったらユキサは止められないだろう、言葉通り、勝手についてくる。
舌打ちをした神田に続いて立ち上がったのは、フレイだった。
「また遭難する気か?」
「俺に構うな…」
「父さんが行くなら、私も行く!」
娘が巻き添えになってもいいのか、と神田が問うが、フレイは黙ったままだ。
そんな様子を見て、不二が口を開いた。
「僕が2人を見てるよ。彩音もこの体調じゃ、動くのは無理だろうから」
その言葉にフレイが何か言いたそうにしたが、口を噤んで椅子へと座り直した。
扉に向かって歩き出した神田を追って、ユキサも足を進める。
いってくるね、と不二に一言声をかけて、扉を閉めた。
「イノセンスの反応は?」
「僅かになんだけど、こっちから感じる」
吹雪の中、ユキサが神田の前を歩く。
だが、先程よりも酷くなっている吹雪の中、ユキサがバランスを崩した。
咄嗟に支えた神田は、そのまま腕を掴んでユキサを引っ張るように歩き始める。
「神田、ありがとう」
神田はただ黙って、足を進めていた。
「吹雪の果てにあるのはおそらく、復活の葉ではありません」
窓際に立つフレイへ、不二が話しかけた。
AKUMAがいるところを見ると、復活の葉ではなく、イノセンスの可能性が高い。
そしてイノセンスを見つけたところで、死者を甦らせることはできないのだ。
「うるさい!」
「AKUMAはまた襲ってきます。もう引き返して下さい。AKUMAはエクソシストにしか倒せない」
「父さん…」
ス、とエルダが立ち上がった。
「父さん。早く寝て、明日吹雪が止んだら出発しましょ」
「エルダ!」
「お願い!…行かせて…」
不二の咎めるような声に、エルダが悲しそうにそう呟いた。