第1章 プロローグ 導かれし三人
神田とナギサが振り向くと、神田と同じくらいの青年が立っている。
「シオン!」
誰だ?と考えていた所で、「あ、ユキサに荷物を届けていた子です」と村人がすぐに紹介をしてくれた。
村の中で兄妹のように育った、と。
近づいてきたシオンはじぃ、と神田を見て、すぐに睨みつけた。
「怪我をさせたら許さない」
「…戦いに怪我はつきものだろ」
「お前が守れ。それなら許す」
あ?なんで俺が、と神田も睨み返す。
そもそも許すとはなんだ、エクソシストになる事は本人も希望している事だ。
言い返そうとした神田だったが、シオンの真剣な表情を見て顔をそらした。
「…傍にいる限りは、守ってやるよ」
その言葉にナギサはもちろん、口にした神田自身も驚いていた。
流れるように出てきたその言葉。
その小さな身で大きなものを抱える、過去の自分と重なるから、だからだろうか。
(コイツが…花なんて口にするから)
内心思った事に神田は眉を顰めた。
そうして数日後…。
神田とナギサが任務で少女を連れてきた事は、黒の教団内で1つの噂になったのだった。