第1章 プロローグ 導かれし三人
―――――時を同じくして。
「もう…3年になるんだね…」
「そうだね」
はらはらと桜が舞う。
暖かくなってきた道を歩きながら、そう呟く男女の姿…。
不二周助、小鳥遊彩音はとある場所へと足を進めていた。
2人が向かっているのは墓。
2人の幼馴染みのものである。
3年前、とある事件で、幼馴染みは命を落とした。
3人で同じ学園へと入学してすぐの事だった。
あまりの出来事に2人は入学して早々心に深い傷を負ったが、学園内の生徒たちはとても優しく、2人は悲しみを乗り越える事が出来た。
そうしてつい先日、無事に卒業する事ができ、今に至る。
街から少し離れた小さな丘の上。
よくそこで、3人でお弁当を広げたりしていた、懐かしい思い出の場所。
「来たよ、[ ]。私も周助も、無事学園を卒業できたよ」
彩音が声をかけた。
サアァァ…と心地よい風が通り抜ける。
不二はその様子を後ろから静かに見ていた。
「ほら、3人で言ってたじゃない?周助がテニス部に入って、私と[ ]がマネージャーになって…。それから周助を応援するんだって」
幼い頃からの、3人の約束。
「周助ね、凄くテニスが上手くなったんだよ!元々上手かったけどさ…。わ、私もマネージャーで周助を応援して…。………っ…[ ]にも、見せたかったなぁ…」
話しながらしゃくり上げる彩音を、不二が後ろからそっと抱きしめた。
彩音はバッと振り返り、不二の胸の中で泣いた。
「なん、で?なんで、周助…どうして[ ]が、傍にいないの…っ!?どうして[ ]だったの!?」
「彩音……」
3年の学園生活を経て、落ち着いてきたかと思っていたが、いざ墓を前にすると彩音も不二も複雑な気持ちになる。
―――――3年前の事件。
その日は3人でショッピングモールに出かけている時だった。
少し彩音と周助と離れていた幼馴染みは、気が狂った殺人鬼に捕われた。
そして一瞬だった。
幼馴染みはそのまま殺人鬼に殺されてしまったのだ。
殺人鬼は幼馴染みを殺した後は特に暴れる事も無く取り押さえられ、事情聴取では終始訳の分からない事を呟いているばかりだった。
なんで、どうして…そればかりが頭の中でぐるぐるしていて。