第6章 第五話 復活の葉
エルダたちに続いて、彩音と不二もスキー板を借りた。
移動するのに使えると思ったからだ。
元の世界でのスキー経験がある2人は、難なく滑っていく。
程なくして追いついたエルダたちに、不二が声をかけた。
「この先は、村の人達も近づかないという所だそうです。どんな危険があるかも分かりません」
引き換えした方がいいですよと言った不二の言葉に、エルダが視線を彷徨わせる。
しかしフレイは引き返す気はないようで、断固拒否した。
「そんな事言って、復活の葉を独り占めする気だろう」
「私たちが探しているのは復活の葉じゃないんです!私たちはエクソシスト。AKUMA退治を専門とする聖職者<クラージマン>です。」
AKUMA?と怪訝そうに彩音に向けられた視線。
信じていない様子のフレイに、不二が続けて言った。
「復活の葉が存在するのなら、AKUMAだっていますよね?」
言葉に詰まるフレイ。
「どちらにしろ、死者を復活させるなんて事はしない方が良いですよ。ろくな事にならないですから」
お前に何が分かる!と食って掛かるフレイを無視し、不二は彩音に先へ急ごうと促した。
―――――分からないわけがない。
彩音も不二も、大事な人を失っているのだから。
エルダの家族も、誰か亡くなったんだろうなと彩音はぼんやり思った。
「あつい…」
ユキサがポツリと呟く。
昨夜は神田と共に洞窟にて一晩を過ごした。
猛吹雪だった天候は現在、熱風が吹き付ける、ユキサにとっては地獄のようだった。
「大丈夫か?」
「だいじょうぶじゃないかもー…」
いつになく弱気なユキサに、相当暑さに弱いんだなと神田は思う。
言霊で氷でも出そうか…本気とも取れるその台詞に、万が一戦闘になった時のためにやめておけと神田は制した。
「彩音たちはもうこっちに向かってるかな」
「この天候なら昨日より移動しやすいだろ」
後方を見ながら呟いたユキサへ、神田がそう返した。