第6章 第五話 復活の葉
「こんな猛吹雪の中、何処へ行こうとしてたんだろうね…」
椅子へ座りながらポツリと呟いた彩音に、宿の女将が振り返った。
―――――探しに行ったんだよ、復活の葉をね。
女将のその言葉に、不二が問う。
「復活の葉?」
「そうそう、命を蘇らせる葉と言われてるものだよ」
それを信じて旅人が来るたびに天気が荒れる。
困ったもんだよ、と女将が言った。
それから一夜が明けた頃…。
「晴れたね~!」
猛吹雪が嘘のように止み、不二と共に外へ出た彩音。
んんーと体を伸ばした彩音に、突然熱風が吹きつけた。
「あっつ!え、今度は暑い?」
「これがコムイさんが言ってた事なのかな」
ふむ、と考える不二。
もしこの異常気象がイノセンスのせいならば…。
「この熱風が吹いてくる方向に行こうか」
コクリと、彩音も頷いたその時、宿の扉が開いた。
「おはようございます。昨日はご迷惑をおかけしました」
よそいきの格好をしている少女を見て、不二が眉を顰める。
「また出かけるのかい?やめておいた方が…」
「あんたたちに復活の葉を取られては敵わないからな」
支度しろ、エルダと少女の後ろから出てきたのは少女の父親である男、フレイ。
エルダと呼ばれた少女が軽く自己紹介をして会釈をすると、2人はスキー板で器用に滑って去っていった。
「私たちは復活の葉を取りに来たわけじゃないんだけどね…」
「そうだね。でもその復活の葉というのは…」
十中八九、イノセンスが関わっているだろうと彩音と不二は考えていた。