第6章 第五話 復活の葉
ふと足を止めた神田の視線を追えば、そこには人が2人、倒れていた。
「大丈夫ですか!?」
ふらつきながらもユキサはその2人へ駆け寄り、声をかけた。
不二と彩音もあとに続く。
倒れているのは、少女と、その父親らしき人物。
2人とも小さくうめき声を上げた。
意識はあるようだった。
「どこか家に運んだ方がよさそうだね」
「いえ…。ち、近くに宿を取っていて…」
小さく言った少女の言葉に、じゃぁそこへ…と彩音が言いかけた時。
「俺は先に行く」
神田、と呼ばれた声に、チラリと視線を向けた。
少し心配そうに見ているユキサに、神田が続ける。
「この異常気象がイノセンスせいなら、AKUMAたちも黙っちゃねぇだろ」
AKUMAが動けば行き倒れどころではなくなってしまう。
「…分かったよ。僕も行く。ミヒャエル、彩音とユキサと一緒に一度宿へ向かってくれるかな?」
「分かりました」
「周助…」
彩音とユキサの体調を気遣ってのことか、不二が提案する。
俺は1人でいいと拒む神田に不二が有無言わさず着いていこうとした時、ユキサが不二を止めた。
「不二は彩音の傍にいてあげて。私が神田と行く」
「でも…」
「私はイノセンスに近づけばある程度場所が分かるから」
そう言われてしまえば、不二は反論する事が出来ない。
少し間を置いてから、不二は分かった、と渋々といった様子で頷いた。
何も言わずに歩き出した神田の後を、ユキサは追いかける。
2人を見送りながら、不二と彩音も倒れていた2人を連れて宿の方へと歩き出した。
「本当に、すみません…」
ベッドで体を起こしている少女が申し訳無さそうに呟く。
ゆっくり休んで下さいね、と彩音が声をかけると、不二が部屋へスープを手に持って入ってきた。
宿屋の人に作ってもらったというスープの皿をサイドチェストへ起く。
「僕たちは下にいますから…何かあったら呼んで下さい」
そう言って2人は部屋を出た。