第6章 第五話 復活の葉
ユキサはともかく、とチラリと青年がユキサを見た。
名前を知っている事にユキサは少し戸惑いながら青年を見上げる。
そんなユキサの頭を撫でようと伸ばした青年の手を、神田がすかさず払い除けた。
ちぇ~と少し拗ねたような顔をしながら、青年は言葉を続けた。
「オレが(ユキサと彩音の)世話してもいいんだけど~実はこれからアレンたちと合流しないといけないんさ」
「アレンと?」
アレンは確かリナリーと任務に出かけてたよね?と彩音が言うと、青年が頷いた。
「そうさ。んで、任務は成功したけど、どうやら2人とも大怪我しちまってさ」
え!?と彩音とユキサが驚く。
大丈夫なの?という不二の問いに、青年はにっこり笑った。
「じじぃも一緒だから大丈夫さ~」
「じじぃ?」
首を傾げたユキサだったが、青年はくるりと4人に背を向ける。
そろそろ行くさ~とひらひら手を振って修練場を後にしようとした。
だが、あ!と足を止める。
「オレはラビ。次期ブックマンの後継者さ~」
よろしく、ユキサ、彩音、周助。
そう言って今度こそラビは修練場を去っていった。
ブックマンとは、世界の裏歴史を記録する一族のこと。
司令室へ向かいながら、神田に簡単に説明された3人。
詳しくは知らんと神田は付け加えた。
まだそれほど鍛えられていないとはいえ、不二の拘束から簡単に抜け出したラビ。
ちゃらちゃらした外見とは裏腹に、ただものではない事は一目瞭然だった。
(それに、イノセンスを持ってた)
マテールで完全に回復した言霊や羽のイノセンスについては、コムイにもちゃんと報告済みだが、その他にユキサはイノセンスの気配を感じ取ることが出来るようになっていた。
そのおかげで上層部からは、イノセンスがある可能性が高い任務にはユキサを就かせるように命じている。
体が許す限り、ユキサは積極的に任務に参加していた。
ユキサはラビの腰の辺りを思い出す。
ほんのり感じたイノセンスの気配。
彼もまた、エクソシストだということ。
ほどなくして司令室に着いた4人は、部屋に入った。