第4章 第三話 災いを呼ぶもの
AKUMAの弾丸がアレンへ降り注ぐ。
焦りを含んだリナリーの呼ぶ声に、アレンは大丈夫とはっきりと答えた。
アレンの左腕には、AKUMAの弾丸は効かない。
「それなラ!!」
千年伯爵が持っていた傘を掲げると、辺りにAKUMAが複数出現する。
「下手な鉄砲も、数撃ちゃ当たル♪」
言葉と同時に、一斉にAKUMAが弾丸を発射した。
バッと走り出したのは不二とリナリー。
彩音はその場で弓を構える。
「(弓なんて、初めて触るはずなのに…)」
どうやって扱うのか、分かる。
キッとAKUMAを睨んで、矢を打ち込んだ。
不二は走りながら自分の身体の異変に驚いていた。
体が軽く、どこまでも行けるような。
マテールなどで走っていた時も少しだけ感じていたそれは、普通じゃない身体能力だ。
「エクソシストになったからかな」
フフ、と小さく笑って、不二は開眼する。
塀を、屋根を伝って、空を飛んでいるAKUMAに、槍を突きつけて行った。
「お願い」
ジャンを救ったリナリーもそう言ってトマにジャンを預け、天高くに飛び上がった。
発動したイノセンスはダークブーツ。
AKUMAを次々と倒していく姿に、アレンがすごいと声を漏らした。
エクソシストが4人もいれば、伯爵側は不利になってくる。
徐々に減っていくAKUMA。
そして戦闘の影響で街が壊れていく様を見ながら、ジャンは叫んだ。
「壊してアレン…!レオを…レオを楽にしてあげて!!!」
ハッと4人がジャンを見た。
アレンが1つ頷くと、大きく飛んだ。
そして…最後のAKUMA、レオが破壊された。
バッと傘を広げ、伯爵は空を歩く。
「出直すとしましょウ」
「伯爵!!」
離れていく伯爵にアレンが叫んだ。
「ですがお前たちはほんの序章を見ただケ。世界中でAKUMAは進化し続けていル」