第25章 第二十四話 アレンを追って
騒ぎで彩音も意識がはっきりしたのだろう、今度は彩音と不二が荷物を持つと言った。
59軒目。
辺りはすでに明るくなっている。
「見たことねぇだと………?」
「い、いやあ~~…ちょっと知りませんねぇ~…」
「ホントかコラ?適当なことほざいてっとこの店ブッタ斬んぞ」
「かんだ、落ち着いて……」
勘弁してくださいよ~と青ざめる店主を脅す神田。
そんな神田を、頭を押さえながら不二が止める。
ユキサと彩音は既に夢の中だ。
ユキサ、次の店はどこら!?と呂律の回ってない神田がユキサの手の中にある紙の束を奪い取る。
「あのクソモヤシ…ッ見つけたら酒樽に突っ込んで黒ヒゲ危機一髪みたいにしてやる…!!」
「ははは…やり過ぎはダメだよ…」
もう店を閉めたいと言っている店主の言葉も聞かず、そう言いながら不二が眠りに落ちた。
パラパラと紙の束をめくりながら、神田はちょっとまてと言葉を漏らす。
「この請求書………?一体、何カ国の店が………ある………」
「お客さーーーん!?!?!?」
あーもう!!と店主が叫ぶが、神田もそのまま眠ってしまった。
「まったく…どこのシマの人間か知らんが、ここらで聞き回ったところでムダだっての…」
ぽつりと呟きながら店主が独り言を漏らす。
「こいつは先日、マフィアのボスにイカサマ賭博ふっかけたガキだ。ヘタに『知ってる』なんて言ったら匿ってると思われて痛い目に遭うにきまってるぜ」
なるほどね…。
店主の言葉を聞きながらユキサがうっすらと目を開いたが、再び目を閉じた。
「3人とも、大丈夫?」
「「「頭がガンガンする…」」」
二日酔いか…と彩音と不二は頭を抑えた。
たいして神田は、なんだこれ…?と首を傾げている。
ユキサの二日酔いだよという言葉に、以前はどれだけ飲んでも酔わなかったと神田が言った。
というか…。
「「「(なんで同じくらい飲んでたはずのユキサはピンピンしてる(の/んだ))?」」」