第25章 第二十四話 アレンを追って
「ルベリエ長官はユキサに酷いことばかりするもの。神田も周助も、もちろん私も、あの人の事許せないんだよね」
「気持ちは分かるけど、もう関わる事はなくなったんだから抑えて抑えて!」
「………」
神田が自らの腕を掴んでいるユキサをじっと見た。
ユキサの掴んでいる力が弱い。
やめる代わりに、最後にと容赦なくユキサの検査でもしたのだろう。
神田はそんな事を考えながら、小さくため息をついた。
「それよりも行こう!ちょっと時間も遅れてるし」
ユキサの言葉に頷いて、4人は方舟ゲートをくぐった。
監視はいない。
だが任務なのかぽつりぽつりとファインダーの姿は見える。
4人は適当に街中をブラブラと歩いた。
怪しまれないようにとカモフラージュのためだ。
たまにユキサの体を気遣ってベンチで休んだりする。
そうして夕方…。
4人は汽車に乗り込んだ。
向かう場所は………。
ゴキィッ!!!
殴られた音と共に、ガタイの良い男が地面へと倒れる。
アニキィーーーー!!!と周りにいた男たちが倒れた男へと駆け寄った。
「何しやがんだコラァ!」
「邪魔だ」
「邪魔だったら殴ってもいいのかい!?あぁっ!?」
殴った神田に怒鳴り散らす酔っ払いたち。
夜の街中。
4人が揃って歩いていれば、老若男女振り返るのは当然の事で。
特にユキサはその外見が目立つ。
紙の束を持ちながら先頭を歩いていたユキサに酔っ払いが絡んできて、神田が殴り飛ばしたのだ。
彩音がそんな男たちに先に絡んできたのはそっちじゃない!と強く言うと、絡んでねぇ!と反論される。
「うちのアニキは美しいモノが大好きなんだ!病的なレベルで!!」
「この世の美しいモノ全てを欲する愛の狩人なんだよバカヤロー!!」
「「(何を言ってるんだろこの人たち…)」」
彩音と不二の心がシンクロしている頃、神田がユキサに次の店までどれくらいだと聞いていた。
『うさぎしゃんのお尻亭』はもうすぐそこだよと呑気に会話している2人に、無視してんじゃねぇと男たちが叫ぶ。
とそこで、倒れた男がむくりと起き上がった。
「たまらん…なんて痛い攻撃じゃ。わしゃこんな美しく気高い人間を見たことがねぇぜ…しかもよく見たら周りも美人揃い…」