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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第25章 第二十四話 アレンを追って


なかなか話を切り出さないユキサに痺れを切らしたのか神田が再びユキサに顔を近づける。
言わないのならまたするぞと言わんばかりの視線を受けて、ユキサが慌てて答えた。

「言う、言うから!!」
「なら早く言え」

やっとユキサから体を放して、神田はベッドに座る。
あのままだったら色んな意味で心臓がもたなかったのでユキサは少しだけホッとする。
とりあえず聞かれた事を順番に答えていこうと神田の言葉を思い出しながら口を開いた。

「六幻には、私の言霊を込めてあるの。結晶型の六幻にも私の血も混ぜた」
「なんのために」
「それは…」

一瞬口籠るが神田に眉を顰められ、ユキサが怒らないでねと釘を差してから言葉を続ける。

「…。神田が命を吸わせて能力を高める技…あれを、私の命が吸われるようにした」

案の定、神田の表情が険しくなりユキサを強く睨みつけた。

「ぜ、全部じゃないよ。それはさすがにできなかったの…六幻は元々神田のイノセンスだから」
「戻せ」
「………む、無理」

静かに怒り出した神田にユキサは慌てて付け足す。
戻さないのではなく、戻せないのだと。

「一度混ざったものはもう解く事が出来ない。六幻は今結晶型になっちゃったし…」
「…………はぁ……」

神田の大きなため息を聞いてユキサは小さく謝った。
だけどユキサは神田の命が削られていくのを黙って見ているのは耐えられなかったのだ。
アルマとの戦いでも、五幻式まで使っていた神田。
自分の命も削られたが、言霊を込めておいてよかったとさえ思っていた。

そこまで思って、多分次の返答も怒られるだろうなとユキサは覚悟を決めて話し始める。

「それからズゥ老師は…、息を吹き返したよ」
「…は?」
「私の言霊は、死んだ人を甦らせる事が出来るものもあるの」

一瞬驚いた後、神田の表情は曇っていった。
死んだ人間を蘇らせる事ができる。
だけどユキサは今までそれを使った事はなかった。
何人もの死を目の当たりにしていながら。

それが示す意味は…。

「…何を払ってる?まさか…」
「死んだ人を甦らせる条件は…。…その相手と親しい事、相手の体が普通の状態である事、そして…私の命を対価として払う事」
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