第25章 第二十四話 アレンを追って
神田の両腕に十字の傷が浮かび上がる。
そうしてそこから、神田の血で作られたイノセンスが現れた。
「六幻、発動」
神田の手に、刀が出現する。
その様子を見ながら、ズゥがゆっくりと目を閉じた。
「フォー…。バクを…頼む…」
「ユキサ・ネーヴェ」
神田の手に六幻が戻った。
これで神田はまた、エクソシストとなったのだ。
そんな中、ルベリエに呼ばれてユキサがぴくりと反応を示した。
ルベリエの視線にこくりと頷くと、ルベリエがユキサ以外は外へ出るようにと指示をする。
「え!?ちょっと…長官、どういうことですか!?」
「外に出たまえ。ユキサ・ネーヴェがそれを望んでいるのだよ」
そうだろう?と問われて、はいとユキサが答える。
彩音と不二の心配そうな視線を受けながら、ユキサはズゥへ近づいた。
「神田ユウ。キミも外へ出たまえ」
「…………」
一瞬ユキサへ視線を向けてから神田は外へと出ていった。
部屋に残ったのはルベリエとユキサ、そうして息を引き取ったズゥのみ。
「さぁ、やりたまえ」
「………」
ズゥに手を翳し、ユキサが言霊を発動した。
「兄さん!一体どういう事なの!?」
「僕にも分からない…そもそもユキサちゃんが来る話だって聞いてなかったんだ」
部屋の中で一体何が行われているのか。
「周助…私、なんだか嫌な予感がする」
「ッ…」
珍しく、不二も固い表情をしていた。
ズゥの体には、治癒魔法は効かなかった。
既に何度も行ったことであり、生命を治癒する事は出来なかった。