第25章 第二十四話 アレンを追って
そうして光が止むとそこには、結晶型になった六幻の姿があった。
「六幻が…結晶型に!?」
「リナリー!?」
彩音が急に走り出したリナリーの名を呼んだ。
リナリーはそのまま神田の元へ向かうと、結晶型になった神田の六幻を思いっきり両手で挟んだ。
その行動に驚いた神田が目を見開く。
「いいの…?神田は、私たちよりずっとずっと長い間、教団に縛られていたんでしょう?」
せっかく、自由になれたのに…。
そう言ってリナリーが俯いた時、部屋にノック音が響く。
来る事が分かっていたかのように特に驚いた様子もなく、ルベリエが入りたまえと言った。
そうして、ユキサが部屋に入ってきた。
「ユキサ……!」
「えっと、これは…」
少しだけ焦ったような彩音の声を聞きながら、ユキサは状況を理解しようとする。
しかしリナリーの手に持っている物を感じ取って、点滴が抜けるのも構わずに走った。
「ストップ!!!…神田。六幻は私が一旦預かる」
「は?お前、何言って…」
「え、ちょっとユキサ…!?」
ぐいとリナリーの手を引いて開き、そのまま液体になった六幻を口へ運んだ。
「ちょ…ユキサちゃん!?」
「って神田!?!?」
止める間もなく六幻を口にしたユキサの腕を引っ張り、なんと今度は神田がユキサへと口づけた。
自分たちは一体何を見せられてるんだ!?
驚きに目を見開いたり、赤くなったり、大混乱の周囲。
何より一番驚いているのはユキサだった。
なぜ、どうして…!?
「んっ…!?」
驚きのあまりまだ飲み込んでいない六幻を、返せと言わんばかりに神田の舌が唇を強引に開いた。
飲み込まないようにと喉を軽く掴み深いキスをする。
口の端から溢れた液も舌で舐め取り、神田がやっと唇を放した。
「はぁっ…はっ…!」
「俺はもう自由だ。今度こそ本当に神田ユウとして、エクソシストになるって決めたんだよ」