第25章 第二十四話 アレンを追って
彩音が絞り出した声も、震えている。
あんなにアレンが自由を願って…ユキサが手を放してまで、見送ったのに。
「「神田…!!」」
「『おかえり』じゃねーのかよ?」
そう言って、神田がニヤリと笑った。
「『なにがあっても僕はエクソシスト』ねぇ…」
ユキサとリナリーから聞いた話を伝えれば、アイツならいいそう…と呟きながら神田はアジア市部内を歩いていた。
その後ろを彩音と不二が歩く。
この3ヶ月の状況を簡単に説明しながら向かうのはズゥの元だった。
神田の六幻がそこにあるからだ。
「それにしても、よく僕たちがあそこにいるのが分かったね」
「別にお前らの事なんか知らねぇよ。ゲートの設置地点を張ってただけだ」
不二と神田の会話を聞きながら、彩音は少し落ち着かなかった。
神田が帰ってきてくれた事は嬉しい。
けれどユキサの事を考えると素直に喜べなかった。
ユキサは神田の記憶から自分への思いを消したと言っていた。
今の神田はユキサを、仲間としか思っていないはずだろう。
現に会ってから、一瞬だけユキサを探すように視線が動いていたような気がしたが、何も聞いてこないのだ。
そして今、ユキサはこのアジア支部のどこかにいるはずで、いつばったり出会ってもおかしくない状況。
「(さ、先にユキサの方に知らせるべきかなぁ…?)」
「彩音?」
「な、なんでもない!」
歩みが遅くなっているのに気づいて不二が首を傾げたので、彩音は慌てて2人についていった。
ズゥがいる部屋へ着いた3人。
その場にいたコムイとリナリーが驚きに目を見開く。
「神田…っ!」
「神田くん…!」
「……………。何してる」
近づいてきた兄妹は神田をぺたぺたと触り出した。
ティエドール元帥の作ったアート・オブ・神田じゃないかと思って…とコムイが泣きながら言った。
リナリーは本物の神田かと確認しているようだった。