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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第25章 第二十四話 アレンを追って


コンコンとノックをすれば、入りたまえとルベリエの返事が聞こえる。
失礼しますと入ってすぐ目に入った人物に、ユキサは驚いて目を見開いた。



時刻は少し前に遡る。

France・プロヴァンス
任務で訪れた彩音と不二は、任務後とある広場のベンチで休んでいた。

「あれから3ヶ月かぁー…アレン、今頃どこで何してるんだろ」
「教団が全力で探しても見つからないなんてね」

さすがはクロス元帥の弟子、と不二が言った。
このまま見つからないでほしいと彩音が本音を漏らす。

アレンがノアと共に教団を飛び出したあの日。
彩音と不二はほとんど記憶がなかった。
エクソシスト全員にアレンを捕らえるように任務が与えられたというのに。
2人は部屋で休んでいたようだった。
気づいた時には次の日の朝。
アレンにはリナリーとユキサが接触したらしいが、説得できなかったと聞いた。

「彩音、あの日の事、やっぱり何も思い出せない?」
「うん…。周助と一緒にいたところまでしか覚えてない…」

覚えているのはアレンやユキサの事で涙を流したあの時まで。
あの後からまったく記憶がなくて、部屋に戻った記憶もないのだ。
なのに朝は自分の部屋で目が覚めた。

「やっぱりなにかあったんだよね、きっと」
「そうだね。それも、アレンが牢から飛び出した理由とも繋がっていると僕は思ってる」

教団は既にアレンを敵と判断しているが、アレンはそういう人間じゃない。
きっと何か理由があったはずと、アレンを知る者たちは今でも思っている。

サァァア…と風が吹いた。
広場で遊んでいた子供たちが、ボールが!と叫んでいる。
風が強くなってきたしそろそろ戻ろうかと言って不二が立ち上がった。
頷いた彩音も立ち上がって、不二の後についていこうとした時。
子供たちにボールを手渡している人物が目に入り、彩音があ…と言葉を漏らした。
立ち止まった彩音の視線を追って不二もそちらを見て、目を見開いた。

「……どうして」

やっと口にした言葉は、不二自身も驚くほど掠れていた。

「なんで、戻ってきたの…?」
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