第25章 第二十四話 アレンを追って
『あんた、TRICOLOREみたいね』
『え?トリコ…なんて?』
『TRICOLORE、三原色のこと。3つの色の魂を持ってる。人間の時が青、ノアが赤、エクソシストが白ってところかしら?』
『…。青と赤と白なの?』
『あー、あたしフランス人だからね。普通の三原色なら青、赤、黄だったわね』
『青、赤、黄…』
『あんたたち3人にも言えるわね』
『不二が青、私が赤、彩音が黄?』
『そうね。色合い的にはそれが一番合うかも』
「ユキサさん、終わりましたよ」
「(っと…余計な事考えてた…)」
目を開けて、ゆっくりと体を起こす。
検査中に考えて万が一にでも感づかれたらまずい。
少しぼんやりとしている様子のユキサに、大丈夫ですかと医者が問いかけた。
大丈夫だと答えて、手術台から降りる。
「ルベリエ長官がお呼びです。なんでもズゥ老師の事でお話があるとか」
「ズゥ老師…?」
一瞬考えてから、あぁとユキサは思い出した。
確か神田の六幻を作った人で、死んだリンクを蘇らせてその生命がもう長くない。
ルベリエからそう話は聞いていた。
リンクを殺したのは、アポクリフォスだろうとユキサは思っていた。
「(あー…言霊関連の事かしら…)」
「歩き辛いでしょうが、点滴はそのままで行って下さいね」
ここからルベリエがいるところまではそれほど遠くない。
分かりましたと言って、検査着の上にコートを羽織ってユキサは部屋を出た。
アレンが教団を離れてから約3ヶ月。
アレン、神田、そしてサードエクソシストたち。
抜けた穴は大きく、残った元帥やエクソシストたちは各地に任務へ出て忙しい毎日を送っていた。
そんな中、サードエクソシスト計画が無くなったことにより、上層部からは次の実験を進めるようにと命が下された。
もちろん、中心となるのはユキサの能力の事。
結局あんな事があっても、同じ事を繰り返すのが人間というものだ。
とはいうものの、もうAKUMAの物は使わないし、ユキサにたいしても無理をさせるようなことはしていない。
自分にも、これから関わるであろう実験体にも、命に関わるようなものでなければ協力するとユキサは返事を返したのだ。