第24章 第二十三話 記憶<メモリア>
「消え、た…?」
テワクが呆然と立ち尽くす。
地面が渦を巻いて、テワクの体が少しずつ沈んでいった。
「伯爵の方舟!?」
拘束から抜け出そうとユキサが藻掻くが、札は外れない。
兄様、トクサ、キレドリ、ゴウシと名を呟きながら、テワクが涙を零す。
「みんな…テワクをひとりにしないで…」
「テワク!!!」
手を伸ばしたリンクは、空を切った。
「貴方方が計った『サードエクソシスト計画』実によく理解できマス。生存を求める故のごく自然な行動ダ。しかしながら我々には理があるのデス。
我々は自らが掲げた【神】で殺し合わねばナラナイ!
その道筋からハズれる事は断じて許しませン!
力を欲するなら、【ハート】を探すことデスヨ♪」
理に従って、サードエクソシストはこちらの駒にしますと伯爵は言った。
マダラオは戦っていたマーシーマに捕らえられている。
それから理からハズれまくってルそこの貴方とアレンに向けて伯爵が言う。
近いうちに、お迎えにあがりますと。
―――――おまえはもう、その場所で生きられないでショウ?
「彩音、もう傷は大丈夫なのかい?」
「大丈夫…。周助は?」
「僕も大丈夫だよ」
食堂への道を歩きながら、2人はそんな会話をしていた。
いつものようにたわいの話をしながらゆっくり足を進めている。
しかし2人が話したい事はそんな事ではない。
ぴたりと足を止めた彩音に気づいて、不二も足を止めた。
「アレンと…ユキサが…」
「……」
「神田も、いなくなって…」
俯いてしまった彩音を、不二は抱き寄せた。
アレンは神田とアルマを逃したことで背信行為だと牢へ閉じ込められた。
ノア化の片鱗も見えたため、そのせいもあるのだろう。
ユキサもアレンを手伝ったとのことで、アレンほどではないが指定された部屋で軟禁されている。