第24章 第二十三話 記憶<メモリア>
「しっかりしろ!!!!」
ぴたりと、トクサの動きが止まった。
私を、破壊しないのか?なぜ?と小さく声が聞こえる。
「キミこそ、なぜ諦めるんです」
「ッ…!!そのまま、イノセンスでアルマ細胞を弱め、ろ…っ!!」
アレンの言葉に正気に返ったトクサが、強い瞳をアレンへ向けた。
アルマの怨念を抑え込むと言ったトクサに、ユキサも近づいた。
しかしその時、アレンとユキサへ札が飛んできた。
縛羽!と聞こえた声に、2人が振り返る。
2人の体は札に拘束された。
「発動を解きたまえ、アレン・ウォーカー!ユキサ・ネーヴェ!」
「なっ…!」
「リンク…ッ!!」
この数ヶ月、リンクはアレンと共に過ごした。
だからこそ分かる、今のアレンが今までのアレンと違うという事が。
14番目への覚醒が始まったに違いない。
ウォーカーは危険だ!!
それはそんなアレンに手を貸しているユキサにも言える事。
ユキサの纏っている空気もいつもと違う。
どさりとアレンとユキサが地面に倒れた。
「放して、リンク!!!」
「今なら助かるかもしれないんだ、リンク…!!」
2人の言葉に戸惑うリンク。
しかしリンクが支えていたテワクに、異変が起こった。
兄様…兄様はどこ…?
「殺したんですの…?」
テワクがアレンを見た。
「兄様はどこおおおぉぉ!!!」
そのままテワクがアレンに襲いかかる。
アレンが反射的に目を瞑った時、大きな丸い物体がテワクを突き飛ばした。
キシャァァァァ!!!と威嚇したように鳴くティムキャンピー。
その大きさはとんでもなく大きい。
「!?!?」
「え…ティム…!?!?」
全員がその大きさに驚愕した。
しかしそんな事を考えてる暇はない。
そんなことはあとで…と言ったリンクに、トクサが襲いかかる。
「リンク…!」
「ダメだ、よせーーーー!!」
アレンが叫んだ時、フッとトクサがその場から消えた。