第24章 第二十三話 記憶<メモリア>
バッとユキサが羽を広げて、六幻を手に持ち、神田を抱え上げる。
空高く飛んで、アルマを追った。
「神田!レニーさんが言ってました。アルマを助けられるとしたら、神田だけだって」
僕もそう思うと微笑みながらアレンは叫ぶ。
神田がフッと笑った。
「礼を言う、アレン・ウォーカー。お前がいてくれて助かった」
その言葉を聞いてアレンが目を見開いた。
ユキサも微笑み、そっとアルマへ近づく。
「アルマ!!」
「ユ、ウ…?」
ユキサの手から離れた神田がアルマを抱きしめた。
「一緒にここから逃げよう。イノセンスも教団も無い場所へ…」
―――――今度こそ、一緒に。
9年前、伝えられなかったその言葉を、神田が伝えた。
チャリ…とアルマの首にネックレスが下げられた。
それは神田がユキサにあげたネックレス。
言霊によって忘れてしまった神田が不思議そうにユキサを見た。
「おまえ…」
「………『蓮華の花』」
神田とあの人が見ていたあの蓮華の花を。
ふわりと、花びらが舞う。
ユキサの言葉と共に、辺り一面に蓮華の花が咲き誇る。
神田とアルマの目が、大きく開かれた。
『いつか2人で一緒に見ることができたら』
ユキサが小さくさようならと呟き、ゆっくりとその場を離れた。
神田とアルマが落ちる着地点で、アレンがゲートを開く。
2人はそのままゲートに吸い込まれていった。
「ゲート、『破壊(アダラ)』!!」
パアァァン!と音を立てて、ゲートが崩れた。
アレンの傍に、ユキサも降り立つ。
「ノアにも教団にも、もう手出しはさせない!!」