第23章 第二十二話 アルマ・カルマ
目が覚めたユウは、腕を天へと伸ばしていた。
「ユキサ…?」
「? 何、アレン…」
ふいにアレンがユキサの頬へと手を伸ばす。
一瞬驚いたユキサが目を見開くと、そこからぱたぱたと雫が零れ落ちた。
あれ…?と今気づいたかのように慌てて涙を拭う。
「ご、ごめん…!」
「…………」
「えと…なんていうか、その」
神田の過去の事は既に知っていた。
けれど詳しい事は知らなかったのだ。
神田があの人を追う理由がここまで…。
この涙は何?
悲しいと思ったから?
「…アレン」
「ユキサ?」
「この世界から戻ったら私は…ーーー」
続いた言葉にアレンはユキサを止めようと声を荒らげたが、ユキサは静かに首を振った。
―――――もう決めた。だから、何があっても止めないで。
そう言って小さく笑ったユキサの瞳からまた、雫が溢れた。
装置と点滴を外されたユウが、呆然と虚空を見つめる。
聞こえてくるトゥイの声は、少しだけ悲しみが滲んでいる。
「板挟みにしてすまないな、フォー」
フォーという名前。
アルマが言っていた名前―――。
ははははは!!!!とユウが狂ったように笑い出した。
トゥイがそんなユウを見ながら、二度と目覚める事のない眠りの術をかけるといった。
ギロリ、とユウがトゥイを睨む。
「騙してたな?第二エクソシスト計画?人造使徒?ちがう、ちがうね!!」
幻覚なんかじゃなかった。
封印したのか?消したのか?記憶を?
「俺はAKUMAに殺されたんだろ?今はいつだ、あれから…何年経ってんだよ…?」