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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第23章 第二十二話 アルマ・カルマ


「マリ!?」
「バクさん…」

場面が切り替わって目に入ったのは、同じエクソシストであるマリの姿。
目には痛々しく包帯が巻かれており、手には今と同じような弦を持っている。

「…今、子供の声がしませんでしたか?」
「え?」
「なぁにが『うまくいけば』だあの野郎」

咳き込むようなとマリが言った瞬間、用水路からユウがざばぁと出てきた。
死ぬほど冷てぇし…つか死んだし、しかも全然…。

「外じゃ、ねぇ…」

ドサリとその場に倒れ込んだユウが、コレ抜いてくれと呟いた。
慌てたバクが医療班を呼ぼうとしたが、足を引っ張ってそれを止める。
抜いてくれれば治る、と言ったユウが辛そうにしているのを聞いて、マリがユウを抱き起こした。
ふわりと漂った匂いにユウが何かを感じていると、肩に刺さっていた式針が引き抜かれた。

「これで大丈夫か?」
「おまえ、どっかで…?」

と言いかけた所でカクンとユウの首が倒れる。
あっ、寝た!?とマリが言い、バクはなんだこの子供はと訝しげな視線を送った。

そんな2人の背後に立ったのは鴉だった。



――――そうだ、この匂い…血と死臭の…。

『ねぇ、この花知ってる?』

「天に……向かっ…」

『蓮華の花。泥の中から天に向かって生まれて、世界を芳しくする花なのよ』

「愛してる、ずっと…」


蓮華の花のようだと云われた。
泥の中で咲き、世界を芳しくするその生き様が。
まるでエクソシストの相を顕してるようで愛しいと、あの人は云った。



「おまえを、あいしてる…」
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