第22章 第二十一話 第三使徒計画
「!?ユキサ…!」
「おや、そうじゃったな…ジョイドが言っておったのを忘れていた」
ユキサには再生魔法がある。
かけた相手の受けたダメージを自分が肩代わりをする魔法。
ノアは神田の脳を潰すつもりでいたが、それがユキサに肩代わりされたのだ。
もう一度、ノアの目が神田を射抜く。
混乱と焦りで未だ落ち着いていなかった神田は、ノアの攻撃を受け、その場に倒れ込んだ。
『ぼくは信じてる
この聖戦を乗り越えたその先には
信じた世界が、きっとあるよね…』
ドクン、と心臓が大きくなった。
ハッと目を開き、ユキサは痛む頭を押さえながら体を起こした。
「起きたか、女」
先程のノアの声を聞き咄嗟にイノセンスを発動しようとするが、ノアがすい、と周囲を差す。
周りには団員たちが捕らえられていた。
よく見れば見慣れないノアや千年伯爵の姿もある。
ぐっ…と動きを止めて、ふいにユキサは床下に何かの気配を感じて見た。
この子は………!!
「アル、マ…?」
「ほう、やはりおぬしも知っておったか」
「一体何をする気…!」
近くに倒れている神田を抱きかかえ、ユキサがノアを睨む。
ふと、神田の体が小さく揺れた。
「ユキサ…?」
「神田…!」
ふらりと体を起こした神田が、アルマを見て大きく目を見開く。
「さぁさァ時はきましたよ~ン!アルマ=カルマちゃんに断罪の朝ヲ!!」
コケコッコー!と伯爵が叫んだ。
しかしそれを1人のノアがまってまってと止める。
まだゲストが残ってるじゃないかという言葉にユキサが眉を顰めた。
すると突然、そのノアが乗っていた棺がガタガタと揺れ出す。
その下、伯爵の方舟から光が輝き、僕の下からぁーーー!?とノアが吹っ飛んだ。
「仲間を返せ!!」