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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第3章 第二話 マテールの亡霊


「マテールの亡霊は人形だった…逃げたんだ、どこかに隠れる場所があるはず」

追いかけろ…と呟く神田に、今はそんな事より、とアレンは制した。
まずは休める場所を…そう考えたアレンの耳に、小さな歌声が響く。
歌…?と辺りに視線を巡らせながら、アレンは足を止めた。
ララの歌は、地上に届いていた。

「どこから…」

ふと、地面から歌声と風が吹いて来てる事に気づいた。
周囲をキョロキョロと見回せば、色の変わった地面がある。

アレンはその地面を開け、神田とトマを運び入れた。
もう少し、奥の方へ…。

地上で戦うユキサを心配しながらも、アレンは暗い地下へ足を進めたのだった。



「ずっと下ってる…いてっ」

暗い地下を、最新の注意を払いながら降りるアレン。
時々壁にぶつかりながら、ゆっくりと足を進めている。
ふと、歌声が大きくなって来た。
前を見ると、広間の入口が見える。

「歌だ…」
「あ!あなたは…」

入り口に立ったアレンに、近くに居た彩音と不二が気づいた。


『ラクリモサ ディエス イラ
クア レスァジェット エクス ファヴィラ
ジュディカンドゥス ホモ レウス
ヒュイク エルゴ パルチェ デウス
ピエ チェス ドミネ』


立ち尽くすアレンに、ララが振り返った。

「来たのね」
「あなたが、人形…。マテールの亡霊だったんですね」

こくり、とララは静かに頷いた。
瞬間だった。

「うあああああ!!!!」
「え!?」

ガッ!と近くの崩れた柱を掴むと、それをアレンに向かって投げつけてくる。
ま、待って!!と慌てるアレンは、彩音と不二に神田とトマを見ててもらうように頼んだ。

イノセンスを発動させながら、ララに向かう。
投げられた柱を避けながら、続けてララが持ち上げた柱を、アレンは左腕で止めた。

「事情があるなら…教えて下さい。可愛い女の子を相手に戦えませんよ」

そう言ってふ、と柔らかく微笑んだアレンに、ララは落ち着きを取り戻した。

「グゾルはもうすぐ死んでしまうの」

ぽつり、と言葉を漏らす。
死ぬまでは彼と離さないでほしい、この心臓はあげるから、とララは懇願した。



「ヒャーッハッハッハ!!!」
「ッ…!!」

ブンブンと振り回して来るAKUMAの腕を、ユキサは大鎌で弾いていた。
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