第22章 第二十一話 第三使徒計画
発動を解けと言われたゴウシがその異形の手を元に戻すと、アレンの左目が治まる。
程なくして、彩音、不二、マリを先頭に、何の騒ぎだとわらわらとアレンの元へ人が集まってきた。
なんさこいつら?とラビが言うと、鴉の1人が失礼しましたとアレンへ謝罪する。
「我らは人体生成により半AKUMA化した者ゆえ、イノセンスを受け付けぬのです」
何卒ご容赦を。
言葉を聞いた一同が、驚きに固まった。
半AKUMA…人体生成…!!
ギリ、とユキサが唇を噛む様子を、彩音が戸惑ったように見ていた。
トクサ、キレドリ、ゴウシ、テワク、マダラオ。
この5人は第三エクソシストと呼ばれる。
第三エクソシストとは、北米支部が造り出した半AKUMA種。
「…………」
コツコツと方舟内を歩く神田の後ろ。
ユキサは静かに神田に着いていく。
あの第三エクソシストの話を聞いてからというもの、ユキサは神田の傍を離れなくなった。
様子がおかしいことに彩音と不二も気づいており、逆にユキサの傍にいてくれと神田に頼んだほどだ。
ユキサが離れないのだからどちらにしろ傍にいる事にはなるが。
ユキサは知っている。
第ニエクソシスト計画、神田の事、神田の記憶にいるあの少年の事。
そして、神田が探しているあの人の事も。
断片的に見た神田の記憶や偶然聞いてしまった彼の体の事で、コムイに詰め寄ったのだ。
既に第二エクソシストについて色々知ってしまっているユキサに、コムイは諦めて全てを話した。
もちろん、ユキサもコムイも神田には内緒で。
それでも神田には気づかれているだろう、ユキサが既に知っている事を。
アジア支部への扉を開けた瞬間、聞こえてきたのは騒がしい声。
方舟から出るとそこには、アジア支部長であるバクが仲間たちに引きずられている姿があった。
出てきた神田とユキサを見て、バクが目を丸くする。
「か、神田ユウ!?と、ユキサ・ネーヴェ!」
バクに案内され、部屋へと通される。
窓に足をかけて座る神田の横で、ユキサも座って窓の外を見ていた。