第22章 第二十一話 第三使徒計画
「引き…分け…?」
「だね」
「ユキサ惜しい!!」
「神田ぁ、自分の彼女に手加減くらいしろよー!」
ギャーギャーと再び騒ぎ出した周囲をよそに、神田がどけろとユキサに言った。
ハッと我に返ったユキサがごめんと言いながら立ち上がる。
とそこへ、ブックマンが近づいてきた。
「面白い勝負を見せてもらったわ」
「ブックマン。見てたの?」
「ほっほっほ。2人さえよければワシと一本お願いできるかの?」
「あ?」
なんで、と神田が言った所で、ブックマンの纏うオーラが強くなっていく。
「そろそろ誰が真のポニーテールか決めようぞ」
ほわちゃああああ!!と2人まとめてかかってこいとブックマンが構えた。
「周助…ブックマンは一体どうしたのかな、あれ…」
「ポニーテール勝負、なのかな?」
確かにあの3人はポニーテールだけど…。
心なしかパンダが背後に見えるブックマンを見ながら呆然とする彩音と不二をよそに、神田はコイツ終わったらメシに行くぞとユキサに言って、ユキサも神田にうんと頷いていた。
だがその時。
ドガァァン!!と近くから大きな音が聞こえる。
何事かと振り向いた全員が見たのは、アレンが柱に叩きつけられ、ゆっくりと崩れ落ちる姿だった。
ユキサが慌ててアレンへと駆け寄った。
アレンはマリと組手をしていたはずだ。
彩音と不二がマリへ事情を聞きに行く。
「アレン大丈夫…!?」
ヒールを唱えていると、突然アレンの左目が反応した。
AKUMA!?とユキサがアレンが向いている方を振り向くと、そこには歪な手を光らせているガタイの良い男。
仲間であろう人物に何をしてると聞かれ、イノセンスに反応して発動してしまったと答えている。
ユキサはアレンが攻撃する様子がないのを見ながらも、警戒は解かなかった。
スッ…とリンクがアレンの前に立つ。
「なんのマネだ、ゴウシ。アレン・ウォーカーは今私の任務対象だぞ。何の理由があって『鴉』のお前達が彼に手を出す!?」
リンクの言葉に鴉!?とアレンとユキサが驚いた表情をした。
ゴウシと呼ばれた男も、ハワード・リンク監査官かと呟いていた。