第22章 第二十一話 第三使徒計画
言われて彩音が神田を見ると、額にうっすらと汗を浮かべて少し戸惑ったような表情を浮かべていた。
神田があんな表情をするなんて…。
うおぉぉーーーーー!!!と周囲から歓声が上がる。
神田にボロボロにされた者たちはユキサを大声で応援していた。
「…やるな…っ」
「だてに皆の組手を見てきてないよ」
打ち込んできた神田の一手を避け、ユキサがくるりと一回転して神田を蹴りを叩き込む。
それを両手で止めた神田がユキサの足を掴んだ。
そのまま足を引っ張られユキサがバランスを崩すが、もう片足を神田の首に巻き付け全身の体重をかけ上体を傾けさせ、地面に手をついてバク転の要領で神田を地面へと叩きつける。
しかし咄嗟にユキサの足から手を放した神田は地面へ叩きつけられることはなく、拘束から抜け出していた。
はぁはぁとお互い息が切れている。
「す、すげぇーーー!あの神田相手に…!?」
「女とは言えさすがはエクソシストだぜ…!」
ざわざわと騒ぎ出している周囲に神田が小さく舌打ちをしてユキサを見た。
手加減してらんねェな…。
くる…!とユキサは思った。
踏み込んできた神田の、髪紐を狙った攻撃を両手で防ぐ。
しかし次の瞬間、腹へと思いっきり神田の蹴りが入った。
吹き飛ばされたユキサが壁ぶつかる。
「ゲホッ…!!」
「ちょ…神田ぁーーー!?」
やりすぎ…!!と彩音が言ったが、神田はそのままユキサへと向かう。
ぶつかった衝撃で一瞬意識が飛びかけていたユキサがハッと気づいて神田の攻撃を避けた。
瞬時に神田へと足払いをかける。
「は…っ!!」
「ッ…!!」
地面へ倒れた神田へユキサが馬乗りになる。
神田の髪紐へと手を伸ばすが、その手を掴みぐいっと神田が引っ張った。
2人の顔が近づいた時、するりとユキサの髪紐が解けた。
ぱさりとユキサの髪が神田の顔へかかる。
「ユキサの髪紐が…!」
「彩音、よく見て。神田の髪も…」
彩音と不二がよく見ると、神田の髪も地面へと広がっていた。
2人の手にはお互いの髪紐が…。