第21章 第二十話 14番目
「なーんでボクの能力が効かないのかなーって思ってたけど、効いてきたみたいだね」
「姉ちゃん!!」
ユキサの再生魔法が、解けた…!?
硬化していく体に耐えきれず、彩音がその場に倒れ込んだ。
「周…す…」
「さぁ、伯爵様の所に行こーなー!」
「はなせぇぇぇ!!!ぴぇえええ!」
ティモシーの独特な泣き声に笑いながら、AKUMAが去っていこうとする。
その時微かに、リンクからアレンの声が聞こえてきた。
気づいたティムキャンピーがリンクの服を漁り、ペン型の無線機を咥えてティモシーの近くへ咥えていく。
『泣くな、ティモシー…僕の声聞こえるか…?』
「黒づくめ…!?」
大丈夫だ、すぐに助けに行くと弱々しい声で呟かれたアレンの言葉。
だがティモシーは泣きながら否定した。
ここを助けられた所で、ティモシーはほぼ確実に教団へ入団しなくてはならない。
ティモシーはただ、この孤児院でずっと過ごしていたかっただけなのだ。
孤児院が閉鎖されるという話を聞いて、盗みを働いた。
『僕は最低だと思うよ』
ティモシーがアレンの言葉を思い出す。
そっか…オレは同じ事してたんだ…。
「たすけて」なんて、言えねェじゃん…。
ドンッ!と銃声が辺りへと鳴り響いた。
「その子を放しなさい!」
「エミリア!?」
「放しなさいって言ってるのよ、化物共!!」
エミリアが叫びながら銃を撃つ。
しかしAKUMAには傷一つつかない。
AKUMAが不気味に笑ってエミリアへ向かっていった。
「やめろぉおぉぉ!!」
「ティモシ…ッ!」
大きな音と衝撃音が聞こえ、通信は切れた。