第21章 第二十話 14番目
六幻に斬り裂かれたAKUMAが断末魔を上げながら爆発した。
六幻を軽く振り、神田は体に少し違和感を感じていた。
命を吸う三幻式、しかし体にあまり変化がない。
いよいよ自分の命の残量も少なくなってきて痛みや苦しみに鈍くなってきたのか。
神田がそう考えた時、アレンの呟きが耳に入る。
「女…?」
AKUMAの言葉を聞いていたアレンと神田がハッと気づいてユキサを見た。
ユキサは胸の辺りを押さえながら膝をついている。
抑えている手は…人形のように硬化していた。
AKUMAがユキサへと向かった。
「ユキサ!!」
エネルギー体が飛んでくるその瞬間、不二がユキサの前へ出てカウンター技を発動する。
しかしそれを狙っていたかのようにAKUMAが甲高い声を上げた。
不二が瞬時に『凪』を発動するがAKUMAはその瞬間にユキサへ何かを撃ち込んだ。
「ッ!?」
「ユキサ!!」
「のあさまからはなしはきいています。やはりおまえをさきにせんとうふのうにさせるべきでしたね」
ごぽ、と口から空気が漏れるのを手で押さえ、ユキサは苦しさに顔を歪ませる。
AKUMAが撃ったものは水球のようなもの。
咄嗟にアレンが道化ノ帯<クラウン・ベルト>を伸ばすが、液体なので捕らえる事が出来ない。
AKUMAの能力なのか、ユキサ自身にも触れる事が叶わず虚しく水球を通り抜けるだけだった。
「おまえのことだまはやっかいだとのあさまはいっていた。だがおまえがせんとうふのうになればとけるのでしょう?おまけにしゃべれなくしちゃえば、ことだまとやらはつかえない」
「!!」
目を見開いたユキサを見ながら、AKUMAは飛んできた神田の攻撃を受け止めた。
いつまでもつかな…ニヤリと笑ったAKUMAに、神田がぎりっと唇を噛んだ。
「ホーリーレイン!」
狭い室内で彩音が矢を打つ。
AKUMAたちはそれを弾きながら、彩音に向かってきた。
攻撃を避けるが狭い空間では上手く身動きが取れない。
「(体が硬化することはないけど、もしユキサの再生魔法が発動してるのなら…)」
ユキサにこの硬化が渡っている可能性がある。
そう思った時、彩音の体が硬直した。
「!!」