第21章 第二十話 14番目
「えぇ!?ティモシーが人様の体で泥棒を?」
「はい。ティモシーくんは他者の体に自身の意識を憑依させて操る能力を持っているようです」
怪盗G…もとい、ティモシーは今アレンと共に縛られている。
なんで僕まで…と文句を言うアレンを、まあまあと彩音が宥めた。
不二が詳しく説明するが、やはり一般人が急に言われても信じられない話なのだろう。
本気で言ってるんですか?と疑いの眼差しを向けられている。
「まぁ、すぐに信じられる話ではないでしょうが…」
「本人が言ってんだ。それに…」
すい、と神田がユキサを見る。
脅して言わせたんでしょ!?と先程ティモシーを蹴り飛ばした女性、エミリアが神田に怒鳴った。
ガルマーの娘だそうだが、親子関係はあまり上手く行っていない?ようで…。
そんなエミリアが神田の視線の先を追い、ユキサと目が合った。
「あの。この額の玉については院長はご存知で?」
「えぇ」
ユキサの問いに、院長が答えた。
ティモシーの父親は昔ガルマーが逮捕した窃盗犯。
父親は罪を隠すために幼いティモシーに盗品を飲み込ませた。
そうしてガルマーが孤児院に連れてきた時にはもう今の姿になっていたと。
そうですか、とユキサが言い、言葉を続ける。
「ティモシーの額に埋まってるのはイノセンスで間違いありません。イノセンスは適合者とシンクロすると能力を発言します。人に憑依する事が出来るのは、イノセンスの能力だと思います」
「そ、そんな…」
「…。僕たちはワケあってそのイノセンスを探しておりました。そのイノセンスの適合者ならば、黒の教団でエクソシストになってもらう事になります」
嫌だ!!とティモシーが叫んだ。
「勝手にオレのこと決めんな!お前ら親父と同じだ!オレを物みたいに…オレはここに居たいんだ!死んでも行くもんか!」
「ティモシーくん…でもね、イノセンスは…」
彩音が説明しようとしたその時だった。
窓の外が急に暗くになり、異様な空気が辺りに漂う。
「しまった…!」
ドォン!と壁が破壊された。
アレンが咄嗟にイノセンスを発動して、近くにいた彩音を含めてティモシーや院長、エミリアを守る。
神田と不二には、ユキサがフォースフィールドを発動していた。