第21章 第二十話 14番目
よって、人間に傷がつく事はないのだ。
しかし怪盗Gには思ったよりも刺激が強かったらしい。
ぴぇええええ~~~とリンクが泣き出す。
その場の全員がぴしりと固まる。
「痛いよー痛いよー!!」
「い、痛くない痛くない!この剣は人間には効かな…」
「お前たちのせいだぞー…!!この人殺しぃぃ~…!!!」
フッとリンクが意識を失った。
ぴくりとユキサがイノセンスの気配を感じ取る。
どうだ?という神田の問いに、場所が分かったとユキサは答えた。
程なくして目覚めたリンクにユキサが治癒をかけ、事の経緯をティムキャンピーの映像付きで教えると、リンクはガクリとその場に崩れ落ちた。
「ここですか?」
「うん。間違いないよ、イノセンスの気配がする」
ユキサの言葉にアレンが扉に近付く。
ハースト孤児院。
あの泣き方からいって、まさか子供がイノセンスを持っているのかと不二は思った。
ふと、何やら孤児院の中が騒がしい。
「あのー、すみませ「エロガキィーーーー!!!!!」
アレンが声をかけながら扉を開けた瞬間、女性に蹴られた子供がアレンの頭へと激突した。
え?と彩音と不二がアレンが吹き飛ばされた方を見る。
いけない!私ったらまたパパ直伝の護身術を!とあたふたして建物から出てくる女性。
むくりと起き上がったアレンに、彩音が大丈夫?と声をかけると、アレンの額から血が流れる。
「ユキサ!!アレンがっ…!!」
「待って」
アレンと共に吹き飛ばされてきた子供の額を見てから、ユキサがアレンの方を見る。
そうして何か言おうとした時、アレンがぴぇえええええ!!と泣き始めた。
ユキサは神田に呼ばれて振り返り、コクリと頷いた。
「ぴぇえええ!血が、血がぁぁぁ!!」
「よぉまた会ったな怪盗G…。さぁ白状してもらおうか、この体を綺麗なままで返してほしかったらなぁ?」
「か、神田…もうちょっと穏便に…」
ジャキンと六幻を子供の体に突きつける神田。
それを見て彩音が戸惑うように言った。