第21章 第二十話 14番目
「うわぁぁぁ!国宝が!!」
「え…?」
国宝が投げられた事に驚いた全員だったが、ユキサが無事受け取った事に安堵する。
一瞬驚いたがしっかりと国宝を掴んだユキサと、怪盗Gの目が合った。
しばしの沈黙の後、あれ?と怪盗Gが小さく呟いた時、不二が瞬時に背後に回る。
その瞬間、キィン!とユキサがイノセンスの気配を感じ取った。
不二の目の前にいた怪盗Gがガクッと膝から崩れ落ちた。
慌てて不二が怪盗Gを抱える。
「!!一体、なにが…」
「アレン!リンクに」
気をつけてとユキサが言う前に、アレンへリンクの拳が振り下ろされた。
咄嗟に避けたアレンに、にたりとリンクが笑った。
「で?なんだっけ?Gを捕まえるだっけ?できるかな?」
「リンク…!?」
「そいつは人の体に乗り移ることが出来る!」
イノセンスの気配を辿っていたユキサが叫んだ。
ボネールさんの言っていた事は間違っていなかった。
「って事は…今はリンクに乗り移ってるってこと!?」
「というかリンクってただの監査官じゃないんだね…」
「ヒュ~なによこの人、超ハイスペック!」
動きが戦い慣れしている。
そういえば教団が攻め込まれた時、アレンを助けていた事があったっけ…。
彩音と不二、アレンがそんな事を思い出してると、リンクが王冠を返して?とユキサへ襲いかかる。
「秘術『縛羽』!!」
「!!」
札がユキサを取り囲んだ。
一瞬重くなった体を振り切って、どうにか囲まれた札から抜け出す。
ユキサがいた所に雷撃が落ちるのを見て、あの技は…!と言ったアレンの横を風が切った。
襲いかかる神田の六幻を、ガキィン!とリンクが札で受け止める。
一旦退いた神田が、チッと舌打ちをした。
「この監査野郎、鴉だったのかよ!」
「!この前アレンを連れて行った…!」
彩音が思い出しながらリンクを見た。
中央庁御抱えの戦闘部隊。
小さい頃から『教育』され、戦闘能力が高い。
まさかリンクがその鴉だとは…!