第21章 第二十話 14番目
「ゲート繋げるの、慣れてきたじゃん」
さすが方舟動かせるのもダテじゃない…と言ってジョニーがハッと口を噤んだが、アレンが困ったように笑いながら、頭の中で歌詞を唱えるだけですからと答える。
「行ったことのある場所じゃないと、繋げられないのが難点ですけど」
「でも、歌詞を知っているユキサはゲートは開けないんだよね?」
「…。そうですね」
ちらりと視線が集まり、少し居心地が悪そうにユキサは笑った。
カツカツと靴音が響く。
「皆!おかえり!」
コムイと共に歩いてきたリナリーが手を振りながら言った。
2人の元へアレンが歩いていき、ユキサたちも後ろを着いていった。
「おかえり、皆。任務ご苦労さま」
「コムイさん、回収したイノセンスは」
ヘブラスカはどこに…。
ユキサがそう言った時、コムイの後ろを見てハッと何かに気づく。
ユキサは近くにいた神田の服の裾を掴んで、少し後ろへと下がった。
「アレン・ウォーカー。今から私の指示に従ってくれるかね?」
「アレン…!」
呼んだユキサの声を聞いて、ルベリエがちらりとユキサを見る。
少しだけびくりと体を揺らしたユキサを、神田が背に庇った。
その様子をみてにやりと笑ったルベリエは、アレンを連れてその場を去っていった。
「何、あれ…」
「周りにいた人は…」
「…『鴉』だ」
―――中央庁御抱えの戦闘部隊。
彩音と不二の問いに神田が短く答えた。
――――――ザァァァ………。
雨が降っている。
ユキサは椅子に座りながら、部屋の窓から外を眺めていた。
薄暗い景色。
「なんだろう…体が重い…」
アレンに風邪を引くと心配した自分がまさか風邪を?