第21章 第二十話 14番目
男を見て、アレンがあ!と口を開く。
「確か、アジア支部の…!」
「お。俺の顔覚えててくれた?」
ジジ・ルゥジュンだ、本日付けで本部勤務になった。
よろしくなと手を出すジジに、全員が握手をしていく。
ふと、ジジが神田を見ておう!と叫んだ。
「久しぶりじゃねェの、神田!新しい六幻どー?ズゥ爺っさま気にしてたぜー?」
「…まだ生きてんのかあの爺さん」
文句ねェなら良好って伝えとくぞと言うジジに、好きにしろと神田が言った。
ユキサがズゥ爺っさま?と首を傾げると、六幻の刀工だと返事が返ってくる。
ジジは元々本部にいた。
しかし上と喧嘩してアジア支部に飛ばされた。
神田がちっせー頃とか知ってるぞと手で背丈を表すと、ユキサが羨ましそうにじぃ…と見た。
本部の科学班を増員して三班に分けるって事で中央や各支部からぞくぞく駆り出されている。
これからは必要があれば方舟でエクソシストたちと現地へ飛ばされる事もあるそうだ。
「科学班も現地に行くって…すごく危険なんじゃ…」
「…………」
彩音の言葉に、不二の表情が少し曇った。
「あ、そうだアレン、ゲートのこと頼めるかな?疲れてるとこ悪いけど」
「ん?いいよ」
ジョニーから言われ、アレンが目を瞑った。
ふわりとアレンの足元に数字が浮かび、ゲートが出現する。
そこからラビとブックマンが顔を出した。
「あれ?ラビ?」
「よーう!任務は無事終えたんか?」
こっちに来るのは明日じゃなかった?とアレンが聞いた。
少し表情を曇らせたラビの代わりに、ブックマンが本業を疎かにするわけにはいかん、とアレンを見ながら答える。
「本業って…」
「『ブックマン』か…」
「………」
彩音と不二が呟いている横で、ユキサがブックマンとラビを静かに見つめていた。