第21章 第二十話 14番目
チェスをしている亡霊の手には、きらりと光る指輪があった。
それがイノセンスで、AKUMAたちはそれを狙って襲ってきているのである。
しかし拳は光の結界に弾かれた。
ユキサのフォースフィールドが発動している限り、AKUMAの攻撃が届く事はない。
「ビショップ、d-3」
「イノセンスをよこせぇぇぇ!!」
「それは出来ない相談だね」
フォースフィールドの前に立ち、AKUMAの攻撃をかわして不二が反撃技を繰り出す。
不二の槍にAKUMAが貫かれたと同時に、もう1体のAKUMAが不二へと襲いかかった。
そこへ彩音が矢を打ち込み、AKUMAは爆発する。
「ナイスタイミングだね彩音」
「ありがとう…ってユキサ、前前!」
空を飛んでいたユキサが彩音の言葉に前を見ると、AKUMAが迫っていた。
だがそのAKUMAは目の前で斬り裂かれる。
「余所見をするな」
「あ…ごめんね神田」
言いながらユキサがスッ…と右手を上げると、右の腿からズルリと大鎌が出現する。
「蒼破刃!」
大鎌を振りかざし、飛び出た蒼い斬撃がAKUMAを真っ二つに切り裂いた。
爆発と共に煙の中から現れたAKUMAが神田へと突っ込んでくる。
ひらりとかわした神田が、六幻を構えた。
「そんな細っこい剣など、へし折ってやらぁ!!」
「六幻をへし折る?」
やってみろよ。
そう言って神田が二幻刀を発動し、八花螳蜋!と叫んだ。
8つの放射状のエネルギーが、AKUMAの体を貫いて引き裂いた。
ここをあけろぉぉ!というAKUMAの声と共にガン!ガン!とフォースフィールドを叩きつける音がする。
ユキサが言霊を使っている限りは全く意味のない行動だが、中にいる老婆とファインダーはAKUMAの形相に怯えていた。
アンタ!まだ終わらないのかい!?と叫ぶ老婆に、リンクが話しかけないで下さいと真剣な表情をしている。
気づいたユキサが振り返りAKUMAの元へ行こうとしたが、ふわりと横を白い光が走った。
退魔の剣を持ったアレンが、AKUMAの攻撃を受け止める。
ザンッとアレンがAKUMAの体を真っ二つにしたのを見て、老婆がふらりと倒れそうになっていた。
「哀れなAKUMAに、魂の救済を…」
「救済か。モヤシくさい言い草だな」