第20章 第十九話 黒の教団壊滅事件再び!?
それからしばらくして、ノック音が鳴る。
不二が夕食を持ってきてくれたものだと思ってユキサが扉を開けた。
目の前には黒いエクソシスト…。
「か、神田!?」
「…確認もせずに開けるな」
急に扉が開かれた事に神田が少し驚いた表情を見せてから部屋に入って扉を締める。
手元を見れば、2人分の夕食がトレイに乗っていた。
神田がいつも食べている蕎麦だ。
「神田が持ってきてくれたんだね。ありがとう…」
「………」
少しの沈黙の後、神田が食べるぞと言った。
神田が食堂へ赴いた時、不二がジェリーに注文をしている所に出くわした。
彩音とユキサがいないことに、まだ体が治っていないのかと不二に問いかけたところ、不二が2人に夕食を持っていくところだと言った。
「…。神田、よかったらユキサに持っていってくれないかな?」
「なんで俺が?」
ユキサとは微妙な空気になっている。
神田自身もあの事件でのユキサの行動に戸惑っている部分があり、今は話しにくかった。
「彩音とユキサ、最近部屋から出てないってことで結構団員たちに怪しまれてるんだ。…傍にいてくれた方が、僕も安心なんだけど」
「…………」
間を開けて、チッと小さく舌打ちをした神田は2人分の蕎麦をジェリーに注文した。
「ごちそうさま」
食べながら食堂での出来事を思い出していた神田は、その声に現実に引き戻される。
食べ終わったユキサが、神田が使っている机の上にトレイを置いた。
居心地悪そうにしながら、ベッドに座る。
神田の様子を窺っているのか、頭についている猫耳が神田の方へと向いており、尻尾が落ち着き無く揺れている。
小さくため息をついて神田が椅子から立ち上がり、ユキサの隣に座った。
突然の事にユキサの体が強張ったのが分かる。
「………。耳と尻尾は感覚あるのか?」
「え…ちょっ、」
尻尾を握るとビクッとユキサの体が揺れた。
あるんだな、と神田がそのままやわやわと尻尾を掴む。
バッ!と尻尾が逃げた。