第20章 第十九話 黒の教団壊滅事件再び!?
神田の声にユキサが振り返ろうとした時、ガッと羽を捕まれ引き寄せられる。
咄嗟に羽を消したが、既に背後から抱き締められていた。
腕から逃れようと暴れるが、暴走したアレンの力を振りほどくことが出来ない。
ガブッとアレンがユキサの首を噛んだ。
「ユキサ!!」
「モヤシ、テメェ…!」
慌てて近づこうとした不二のところに、クロウリーが飛び込んでくる。
反応が遅れた不二の腕へ、クロウリーが噛みついた。
周助と呼ぶ間もなく、不二が彩音を掴んだ。
ユキサも瞳から光が消え、腕の中の神田に視線を落とす。
「やっ…周助…!!!」
容赦なく、不二が彩音の首の根元を噛んだ。
「おいバカ、やめ…!!」
神田、かわいい…と。
本日何度言ったか分からない言葉を言いながら、ユキサも神田の首元へ噛みついた。
後日。
引っ越しの手伝いに来たバク支部長により、苦難の末コムビタンDの新たなワクチンが作られ、教団の騒動は無事収まった。
「はぁ…」
「ユキサ、それ何度目のため息?」
抱いている彩音に言われて、もう数えてないと答える。
途中までは数えていたのかと彩音が苦笑した。
現在、2人はユキサの部屋にいる。
コムビタンDによる教団壊滅事件のあの後。
バク支部長の奮闘により団員たちは元に戻った。
もちろん自分たちも。
ユキサは目が覚めてすぐに神田の元へ走った。
そして見たのは、神田の首元の噛み痕と少し照れたようにふいと顔を逸らした神田の姿。
ユキサはやってしまった…と項垂れた。
そんなユキサの気持ちに反応して、猫耳と猫尻尾が落ち込むように垂れている。
コムビタンDの効果はワクチンのお陰で直ったが、動物化の薬の効果はまだ続いていた。
動物化の薬のワクチンも一応投与したが、治るのに時間がかかっている2人。