第20章 第十九話 黒の教団壊滅事件再び!?
「とりあえず灯りを…」
「まて!声とは別に、何か近づいてくる…」
言霊を使おうとしたユキサを制し、マリが言った。
ごくりと全員が扉の方を見る。
ギィィィ…とゆっくり扉が開かれる音がした。
「あれ?婦長…?」
「ホントだ…」
ユキサとアレンが言って、よくこの暗さで見えるねとジョニーが感心する。
アレンは修行時代の節約生活で夜目が効くようになって…と言っているが目は笑っていない。
ユキサに至っては何故見えるのか分からないようだったが、目が光っている。
神田がそれに気づいて口を開きかけた時、近づいてきた婦長がアレンの腕を噛んだ。
「…はい?」
どうしたんですか婦長!?と団員たちが婦長を押さえる。
「え?怒ってんの?婦長怒ってんの?」
「モヤシ、テメェまだ退院してなかったのか」
「バッチリ退院しましたよ…!?」
ならなんで噛むんだ!?と周囲が混乱している中、ガルルルッと呻き声を上げた婦長。
その声に、ミランダが風邪じゃないかと心配して近付く。
その瞬間、婦長はミランダの首に噛みついた。
「わーーーーーー!」
何を怒ってるんですかと団員たちが止めに入るが、団員たちまで次々と噛まれていった。
あれ…?これってどこかで見た展開…と彩音と不二が何かに気づいたかのように顔を見合わせる。
大丈夫かとマリがミランダへ近づいた。
くるりとミランダがマリを見る。
「? ミランダ、少し心音が」
おかしいとマリが言った瞬間、ミランダがマリの首に噛みついた。
女性に耐性がないのか、恥ずかしさのあまりマリの頭がボンッとショートする。
「え!?ミランダ!?」
「マリ、大丈夫…!?」
ミランダの行動に周囲は驚き、ユキサがマリへと駆け寄った。
不二がハッとして近付くな!と叫ぶ。
え?と思う間もなく、ユキサと近くにいた神田がガッとマリに掴まれた。
神田は左腕を捕まれ持ち上げられたが、ユキサは首を絞められている。
「マ、マリ…ッ!」
「おいマリ!何のマネ…!!」
「皆、ここから逃げるんだ!」