第19章 第十八話 本部襲撃
先日の襲撃は、江戸からの帰還直後で色々と隙があった。
しかし元帥たちがいなければ、本部は壊滅していただろう。
「僕には、伯爵がエクソシストなどいつでも殺せると…そう言っているように感じました」
それはいつかも感じた事。
この聖戦を、自分たちは…人類は、勝つ事が出来るのか。
「だから僕たちは強くならないと。強くなって戦い続けないと」
いつかAKUMAがいなくなる日まで。
―――――千年伯爵を倒す日まで。
「ちょっとユキサ!どういうことなの!?」
不満気に口を尖らせながら、彩音がユキサに怒鳴った。
そんな彩音を不二がまあまあと宥めるが、横にいる神田も複雑な表情を浮かべている。
コムイから話を聞いた後、彩音が話があるとあの庭園へユキサを引っ張っていった。
不二も神田も、イノセンスの事だろうなと2人に着いてきた。
「どういう事も何も…私も型なんて知らなかったし…」
「でも話してくれたって…!」
知らなかった事が悲しいとでも言いたげな表情を浮かべる彩音に、小さくごめんとユキサは言った。
正直、ユキサは戦えさえすれば型なんてどうでもいいと思っていたし、体に何か影響があったわけでもない。
血を使う事で少しだけ貧血はあったが問題ない程度で、言霊を使いすぎて倒れる事は血とは関係なく分かり切っていた事だったから。
落ち込む彩音と、眉を顰めている神田に自分が思っていた事をそうしっかりと伝えた。
「本当に体に問題はないんだね?」
「もちろん。デスサイズが壊れた事もないし、使った血は元に戻してるから血が不足した事もないし」
不二の言葉に答えると、不二が彩音にほら大丈夫だってと声をかけた。
小さく頷いて、彩音がユキサの方を向く。
「でもこれから先、何かあったらすぐ言ってよね!」
まだ隠してることはないよね?と真剣な眼差しを受けて一瞬口を噤んだユキサだったが、何もないよと言った。
1つだけ、ユキサはとある言霊について隠している事がある。
だけどそれは…。
「(これから先使うつもりはない。ううん、使わないでいいように強くなる)」
ちらりと神田を見ながら、ユキサは強く思った。