第19章 第十八話 本部襲撃
え?と不思議そうに周囲の視線もユキサへ向けられた。
「きみのイノセンスはもしかして、結晶型なんじゃないのかい?」
「え…!?でもユキサは装備型と寄生型なんじゃ…」
「多分そうです。私はイノセンスの型なんて知らなかったので、今までなんとも言えなかったんですけど…」
それでも自分のイノセンスが、他の装備型や寄生型とは違う部分あると感じていた。
装備型にしては武器を持ち歩いているわけでもなく、体内から取り出す。
寄生型にしては食事の量も多くなくても問題はない。
入団当初から、3つもイノセンスを持っていてシンクロ率もはっきりせず、謎が多かったユキサのイノセンス。
「リナリーに聞いたよ。キミにも十字の傷があるって」
「あぁ…これの事ですね」
首元のチャックを下げて、首につけているチョーカーをはずした。
そこには十字の傷がくっきりと浮かび上がっている。
神田や不二はポーランドでドレス姿だった時に見たので、見覚えがあった。
同じものが腿にもありますとユキサは答える。
「これは結晶型イノセンスが発動した際に出来た傷だった。リナリーの場合は、一度リングになったあとはそれが対AKUMA武器に変化するため、今は傷はもうないが…」
ユキサの戦い方を見る限りではコムイの言っている事で合っているのだろう。
しかしユキサの傷は消えていない。
「私の場合は、リナリーのリングのようなものがないからだと思います」
「その首につけているチョーカーは違うのかい?」
これはただのアクセサリーですとユキサは言った。
この十字の傷を隠すために、シオンがくれたものだった。
足にもチョーカーがついている。
「私は戦闘のたびに血でイノセンスを発動させてます。十字の傷が残っているのはそのせいかと。デスサイズと歌姫<プリマ>は結晶型で、アーリは寄生型です」
食事の量が少ないのは分からないですが…とユキサが小さく笑いながら言った。
「…ユキサちゃんのイノセンスについてはまだ分からないことも多いが、このように既に結晶型は存在していた事、そしてリナリーも結晶型になった事から、他の装備型適合者に起こる可能性も高いとボクらは見ているよ」
「神さまは僕らを強くしたいってことか」
ティエドールの言葉に、アレンがそうかもしれないと呟いた。