第19章 第十八話 本部襲撃
「あいつら…」
「『フルキャパシティ・ブースト』…」
彩音たちを見ていた神田がその呟きに振り返ると、ユキサが言霊を唱えていた。
この言霊は神田にも覚えがある。
スキンとの戦いに見せた全能力値上昇魔法。
「『ターゲットはアレン、リナリー、彩音、不二に固定』…」
「おい…!」
「平気。あとは…彩音たちに任せる…」
―――――お願い。
ユキサは心の中で強く願った。
「よくがんばったね…でも、さよならだ」
アレンを捕らえているAKUMAが言った。
その腕にダンッとリナリーが降り立つ。
「よくも…ホームをめちゃくちゃにしたわね!!」
「あらてか!」
撃ち込んでくる…!
リナリーがアレンを抱えてその場を飛んだ。
「まともに食らった…!?」
「ううん、大丈夫…。上に逃げた」
神田にそう答えながら、イノセンスの気配を追ってユキサが上を見る。
「あんなに上まで…!?ユウ、見えた?」
「見えなかった…」
物凄い速さで飛んだリナリーを、AKUMAが追った。
それを狙って彩音が矢を放つ。
同時に彩音の周りに浮遊していた矢もAKUMAへと向かっていった。
「そんなこうげき…っなに!?」
かわしたはずの矢はAKUMAを追尾し、追い続ける。
避けられないと悟ったAKUMAがエネルギーを放つが、多すぎる矢を防ぎきれない。
矢がAKUMAを取り囲み、合間から襲いかかる。
「ぐっ…!」